Movin Café

Vol.08

農林水産省がまとめた2017年度版「食育白書」によると、1日の全ての食事を1人で取る「孤食」の日が週の半分以上の人が15.3%となり2011年と比べて5ポイント上昇しました。単身・少人数世帯が増える傾向にある今後、こうした「孤食」化は進む可能性があり、地域や職場などで食事を共にする機会づくりが重要だと指摘されています。

また、かつて日本での仕事上のコミュニケーションといえば“飲みニュケーション”が定番でしたが、そんな話もあまり聞かなくなってしまった昨今、“食”を通じた社内コミュニケーションの重要性を唱え、社内に「キッチン」まで設置した企業の社内コミュニケーションについて紹介させていただきます。

その道のプロ(専門家)が、日常生活をより豊かに快適にするノウハウから業界の最新動向、読み物コラムまで、多彩なコンテンツを発信する、生活総合情報サイト「All About(オールアバウト)」の運営から、All About Newsやサンプル百貨店、楽習フォーラムなど、メディア・グローバル・マーケティング支援など様々な領域にて事業を展開する、株式会社オールアバウト。

今回は、同社の代表取締役社長 江幡氏、経営管理部 高嶋氏、柏原氏(以下敬称略)に、社内コミュニケーションにかける想い・現状についてインタビューしました。

 

ビジョン「個人を豊かに、社会を元気に。」を実現するための“求心力”を担うもの

オールアバウトのビジョン「個人を豊かに、社会を元気に。」、ミッション「システムではなく、人間。」と社内コミュニケーションの施策との結びつきや、社内コミュニケーションに対する想いを教えてください。

江幡:7年前から事業領域ごとに会社を分割し現在グループ全体で7社あります。法人化することによって専門性が高まり、人数が少なくなると一人ひとりの主体性が高まり、自分がやっていることがどういうふうにお客様に届いているかが感じやすくなるんじゃないかと。

結果として、それぞれの事業を伸ばしていく方法の1つの骨組みになると決め、やりました。

分社化するデメリットとしては、「遠心力」が働いて各社が離れていってしまうんですよね。最終的にグループで目指しているビジョン「個人を豊かに、社会を元気に。」はぶらさないし、世の中の不合理・不条理を正すようなイノベーションプラットフォームになることを目指しているので、最低限の「求心力」は必要です。その「求心力」をどう作るか考えたときに、1つは横断的なコミュニケーション、人と人のつながりが重要で、それにはいろいろな仕掛けがあります。

もう1つ物理的に重要なのがオフィスで、このフロアにグループ会社のうち5社が入っています。昨今テレワーク社会ですが本当に距離というのは重要で、一緒の空間にすることで、横に行って「ちょっといいですか?」っていう文化ができる。

さらに共通スペースがいくつかあり、寝転がって昼寝をするラウンジというスペースや、すべて壁が取り払える仕様の会議室スペースでは、空間をひとつにしてパーティーや社内イベントができるようになっている。だいたい立食で250人くらいは対応可能で、ファシリティとして社内コミュニケーションを取りやすいように設計しています。

 

 

コミュニケーションは大事、そのときに食事をすることが重要

具体的な社内コミュニケーションの仕掛けについて教えてください。

江幡:知り合って、一緒に食事をするということが、すごく重要だと認識しています。外で食べると結構お金がかかるし、若い子で一人暮らしだったら、ホームパーティーなんて出来ないじゃないですか?なのでオフィスで好きにパーティーなどができる場所を作ってあげようと思っていました。
同じものを食べるとか、まして食べるものを一緒に作るとか、とても良いプロセスだと思うんです。

柏原:もともと江幡の趣味が料理で、オフィスを移転するときに、いつか「キッチン」を作りたいという話もあり、代官山のレストランのキッチンスペースでシミュレーションをしました。みんなで料理をしたら、どういうコミュニケーションが生まれるのか?という。

江幡:スタッフ20人くらい連れて、社内コミュニケーションツールとしてキッチンは必要だから、その良さを知るべきだということで実験をやりました。それで「いいね!」と盛り上がったので、「キッチン」を設置しました。

仕事で使わない時間であれば土日でも、夜でも使っていいんです。「キッチン」はオープンスペースでセキュリティはかかっていないので、金曜日の夜など、社外の人も呼んでパーティーなどやってます。
ルールは、「人に迷惑をかけないこと」「お酒を飲んだら仕事に戻るなということ」という感じで自由に使ってもらっています。

また、決起集会イベント「キックオフ」がグループ全体や、グループ5社ごとにあります。
例えば、株式会社オールアバウトは150名くらいのキックオフをやっているのですが、キックオフ後のランチの時間に「キッチン」で作ったカレーをみんなでガヤガヤ食べるというイベントをやっています。
今までキックオフはだいたい、夜の時間に開催していたのですが、お子さんのいる社員が増えてきたこともあり、このキックオフは昼間にやっています。

このカレーを作っているのが、高嶋を中心とした料理部のメンバーです。部活も大事な社内コミュニケーションの1つですよね。

 

 

 

 

料理部の活動について教えてください。

高嶋:キックオフのときは、料理部のメンバーと200人分のカレーを作りました。
通常、料理部は月1くらいで活動していて、固定メンバーは4~5人、あとはテーマを見て好きな人が来る感じで、「料理を勉強したいです」という新卒の子の参加率は割と高いですね。中には社外の人もいたりますよ。
活動場所は、区の施設や、オフィスの「キッチン」でやったりしています。昨年は「キッチン」で料理を作って、クリスマスパーティーも開催しました。

 

 

 

 

健康な食事とコミュニケーションをセットで

今後さらに強化していきたい点があれば教えてください。

江幡:社員の健康を促進したいので、コミュニケーションの次は健康。両方のセットでやりたい。少なくとも1日1食くらい、栄養バランスの整ったものを食べてほしいので、朝ごはんの会が出来たらいいなと思っています。食事が難しければまずスムージーを提供していきたいなと思っています。

あとはランチもいいですね。週に1回、オールアバウトランチとかって。それは社員だけじゃなくてOBやお客様を招待するのもいいのではないかと考えています。

とにかくコミュニケーションは大事、知り合うことが重要。で、そのときに食事をするということが重要。

知らない人同士が仕事をしたときに、気に食わないと好き嫌いになると思うんです。好き嫌いではなくて意見はぶつけ合ってほしい。でもちゃんと理解しあっていれば戻れると。

そういうベースのコミュニケーションパスを社内コミュニケーションで補っていきたいと考えています。

 

オフィスでのランチや懇親会は、外食よりもセッティングや片付けなど共同作業が多く、ましてや一緒に料理をするとなると、かなりのコミュニケーションを取る必要があります。

これによって部署を超えたコミュニケーションが増え、社員同士の関係性が密になり、ひいてはそれが、仕事の業務効率化や新しいアイディア創出にもつながっていくのではないでしょうか。

またオールアバウトのキックオフが昼の時間帯に開催されている理由として、ママさんが増えてきているという話がありましたが、オフィスでのランチや懇親会であれば、子供がいる社員も、保育園のお迎えの時間など気にすることなく会に参加できるようになります。

働き方の多様化がさらに広がる現代、企業における“食”を通じたコミュニケーションの果たす役割はますます大きくなるのではないでしょうか。

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