Movin Café

Vol.14

10~20代をターゲットにした衣料品と雑貨のセレクトショップ「スピンズ」や「GALLERIE(ギャレリー)」、ナチュラルテイストの「mumokuteki」など、全国に店舗展開されている株式会社ヒューマンフォーラム。筆者は同社とファッション関係の展示会で同社代表取締役社長の岩崎仁志氏(以下:岩崎さん)と出会い、それをきっかけにネクスウェイが提供する店舗maticを導入いただくという流れで、ちょうど4年ほどのお付き合いになる。

同社は非常にユニークな会社だ。1995年の設立当初から「素晴らしき仲間の集い」というメインメッセージを掲げ、一緒に働く「仲間」を何よりも大切にして成長してきた企業だ。

同社の「想い」が伝わるコーポレートビジョン。

 

それ故なのかは定かでないが、同社の従業員の方は皆、自由で強烈に前向きなエネルギーを持っていて、会う度、必ず元気をいただける。

今でこそ「従業員のエンゲージメント」というテーマが頻繁に話題に上るようになってきたが、既に四半世紀近く、その分野を追究してきた同社の社内コミュニケーションは今どのようなステージにあるのか。改めて岩崎さんにお話をおうかがいした。

前編と後編に分けてお届けする。

まずは、現在ヒューマンフォーラム(以下:HF)では、どのような社内コミュニケーションの取り組みをされているのか教えてください。

ヒューマンフォーラムという社名自体に込められている「素晴らしき仲間の集い」という想いをベースに組み立てられています。10年前にほぼ固まってきたかな。「第0回 やったるで総会」という社内イベントが毎年3月-4月くらいにあって、その3ヶ月後くらいに「全国行脚」イベント、またその3ヶ月後くらいに「GWN(グレートワンダフルナイト)」というイベントをやっています。やったるで総会と全国行脚GWNは、全社員アルバイトも含めた従業員全体が対象なので結構お金がかかります

 

編集部注 )

  • 「第0回 やったるで総会」とは・・

毎年期首に開催する社員総会。会社全体や部門ごとの年間の方向性などが発表される。期首に初心に返るという意味を込めて毎年“第0回”と名付けられています。

  • GWN(グレートワンダフルナイト)」とは・・

「会社からスタッフへありがとうを直接伝えたい」&「一緒に楽しみたい」という想いから毎年秋に地域ごとにスタッフが集まり開催されます。会社の方向性についての共有や表彰式の他、仮装大会、出し物大会、DJにバンドなど、企画・運営ともに社員有志で実施されます。

  • 「全国行脚」とは・・

毎年5月から6月にかけて先輩社員がHFの今期の方向性やスピリッツ(心)と 接客や笑顔、おもてなしなどのスキルUP(技)をスタッフ一人一人に伝えたいという想いから全国を周り行っている社内セミナー

そうですよね・・・、小売業界は人手不足で集合研修の開催がかなり厳しくなってきているということをよく耳にしますが、全員が対象となるとお店はどうされているのでしょうか?

関東は関東で、関西は関西で、九州とかそれ以外は博多にという感じで分けて開催しているのですが、売上規模が小さいお店は休んでしまったりもしますし、そうでないお店は全国の他の地域からヘルプのスタッフを集めたりして実現しています。かなりのキャッシュアウト(お金の流出)ですね。

 

力が入ってますね。そこまでFace to Face(対面)こだわるのはなぜでしょうか。

全国行脚にしても総会にしても「僕の話聞いてください」っていうスタンスです。「会社が何考えていて、どこに向かっているのか、ちょっと退屈かも知れんけど聞いて」というような感じです。

HFでは毎朝の朝礼でHFの想いやスピリッツを唱和するのですが、その中に「心ひとつ、頭ひとつ」というフレーズがあります。やはり、会社がどこに向かっているのかを分かっていてほしい

「私達って何屋さんですか?」と聞くと、「洋服を売っている人」「販売員です」という答えになってしまいがちだけれども、「いや違うよ」と。自分たちはあくまで洋服は手段だと思っていて。洋服屋を通した人材育成とか、共同体づくりといったものをやっている感覚なのですよね。「販売員」として会社を通して、仲間のつながりを作っている。言い回しは少し違っても、毎回伝えているエッセンスはそのひとつです。

 

洋服という目に見えやすいものではなく、それらを活用したつながりをつくる場が御社である、と。場があったとして、コンテンツも必要ですよね。社内の研修はどういったことをされていますか?

新入社員向けには「フレッシャーズキャンプ」っていうものを始めました。月2回×6ヶ月間なので合計12日。中堅社員向けには「ブートキャンプ」という研修。プラス、村研修という45日間「同じ釜の飯を食う」というようなチームビルディング目的の研修。最後に楽学塾っていう楽しく学ぶ塾、(塾長は会長の 出路雅明氏)があります。

いま僕たちは、「エンパワーメントのリーディングカンパニー」になるぞって思っています。自社が大事にしている「素晴らしき仲間の集い」をベースにした考え方で、1人1人の内的動機を芽吹かせてエンパワーメントしていくという活動をやっていきたい。これまでもコミュニケーションについてすごく勉強してきたし、人材育成についても、自己内省というような心理学的なこともやってきたけれど、最近になって、それらを社内のメンバーが体系化してくれました。

大事なことは「ありのままの自分でいられるんだ」という「安心・安全な場」を提供すること。なかなか、普段ありのままの自分でいられないじゃないですか。でも、そこにどれだけエネルギーとスタミナ使っているのかと。研修の中でも、そういった場を提供してあげたいと思っています。人が人として、自分のままに生きられる。他の誰かになる必要はないということを伝えてあげたいと思っています。

 

大変共感します。内なる自分を信じられて、ありのままで周囲とつながるからこそ、多様性が生かされる。業績も「目標と達成の関係」ではなく、「結果として達成できる」ような、逆説的なパラダイムになる。一方で、管理サイドの難しさや倫理観を磨かねば責任の所在がより希薄になってくるようにも思います。そのあたりはどのようにお考えでしょうか?

今までは「責任」って言うと、社会にどんな役割を果たすか?みたいな圧力がすごくあったけれど、れからの新しいパラダイムの「責任」は、自分はどうやって自分自身の持つエネルギーを最大限活用して生きるのかっていうほうの責任が問われていると思っています。自分を殺して同調して生きていくっていうのは、やっぱり命としてというかね、役割として無責任じゃないかなと。

 

インタビューに答えていただいた岩崎さん。最近の学びのテーマにSDGsがあり、独自にワークショップなどを主催している。

 

会社のトップとしてそのメッセージを繰り返し伝え続ける場があって、その時の社員の反応はいかがですか?そういう考え方に着いていけないという人もいるのではないでしょうか?

そうそうそう、いるいる。その話になるとあくびするやつもいるし。でも、それもありのままの姿。全国行脚の僕らの話のときも「寝ていてもいいよー」と言っている。きっと目が覚めた瞬間にちゃんといい言葉が入ってくるから。眠くなるってことは響いていないということ。響かないということは悪いことじゃない。響かそう響かそうと思っても、響かないときは響かない

昔は出世のためにとか、お金のためにとか言って、首根っこ捕まえて仕事してきた感覚がありました。自分自身の経験から見ても、あれはあれで実力とか経験値もあがって人としても成長できたから大事だと思っている。

でも、自己肯定感が低くて、いつまでたっても自分はまだまだだなっていうマインドセットになっちゃうと、その後の人生がハッピーにならないなと。だから、ありのままの自分で、お金もなくて、仕事も出来ないのだけれど、自分はこのままでもちゃんと居場所があるのだな、この会社には、って思ってもらいたい。そんなことをちゃんと考えて向かおうとしている会社って少ないなと思っています。

 

どうしたらそのような居場所が提供できるのでしょうか?

自分の内側を喋る場をすごく作っています。たとえば、勉強会では毎回社内からゲストスピーカーを呼ぶのです。そして自分たちの仕事のなかでの苦しみとか悲しみとか痛みを喋ってもらう。例えば上司とうまくいってないです、だとか。そうすると、それを聞いたみんなの中には、「ああ、私の中にも同じものがある」っていう感覚になったりする。ああ、これはこの人だけの苦しみじゃなくて、私の苦しみでもあるのだ、みたいなことがちゃんと伝わると、そこから何かが始まる・・・。相手の受容も始まるし、自己受容も始まるし、というような。ですから、人前で勇気をもって自分の内側を喋るっていう場を結構な頻度で経験してもらっています

 

〜 後編につづく 〜

※イベントの詳細はヒューマンフォーラム社のオウンドメディアをぜひ御覧ください※

https://magazine.humanforum.co.jp/

 

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