Movin Café

Vol.15

前編では岩崎社長のこだわり、例えば、従業員との関わりや、従業員が多く集まる場の”つくり方”へのこだわりについてお聞かせいただいた。「仲間ファースト」とも言える取り組みに、ここまで向き合い、徹底している企業は少ないように感じた。

さて、後編では岩崎社長の課外での取り組みやその進め方についてお伺いした。

ところで、話は変わりますが、岩崎さん自身、積極的に課外活動に取り組まれていますよね。そのような新しいプロジェクトは、どのように始まるのでしょうか?そしてどう社内が巻き込まれていかれるのでしょうか?

今、洋服屋って結構しんどいですよね、業界的に。何かしらのイノベーションが必要な業界だなと思っています。環境負荷のかかる業界でいうと石油業界がダントツ1番なのですが、2番目がファッション業界なのですよね。低単価、大量生産、大量消費、そして大量廃棄がワンセットになっている流れがすごく個人的に気になっていて、そんなことを考える中で、トゥルーコストっていうファストファッション業界の問題を描いた映画を、社内有志で見たことが、ひとつ心に残っています。

 

洋服ができるまでの「裏側」を描いた作品

その映画を見たのは、社長からの発案で、ということですか?

最初はある部署の社員が見てくださいと言ってきた。とりあえず僕1人で見た後、一番ファストファッションに近いブランドの幹部20人ぐらいで見て、終わったあとに1人一言ずつ感想をアウトプットしていく場を持ちました。

その場の影響はどうでしたか?

やっぱり重い空気にはなりました、しかし現実を受け止めるいい機会にはなったと思います。

その流れもあって、ソーシャルな取り組みやSDGsSustainable Development Goals/持続可能な開発目標)の様な社会貢献性の高い課外活動を行っているのですね。

そうですね、そのゲームの構成上毎回30人ぐらいが定員なのですが、自社の社員10人と、洋服屋のお取引先さん計10人と、一般の人10人といったような構成で毎回開催しています。SDGsが提唱している「持続可能な社会」に共感する仲間をまずは集めようと思って始めました。そうやっているうちに、今では全部で200人いる社員の内、少なくとも60人くらいの中には、「社会に目を向ける」という意識、想いが植わったなという感覚があります。これからの時代の流れとか温度といった移ろいの中で、植わった何かから形としてそれぞれに芽生えてくるのではないかと。お取引先の方にも既に60人ぐらいに参加してもらいました。そして、そこで集まった4社で今後のアパレルを考えていこうという取り組みが発足しました。すごい人たちなので、かなりインパクトが出せるだろうなと思っています。

人とのつながりの中で種を撒いているのですね。そしてすでに動き出しているものもある。芽がでるタイミングはそれぞれに任せながら。

人それぞれのいろんなタイミングで、絶対出てくるなと思っています。

岩崎さんはそういった取り組みで、「社内」とか「社外」という境目は意識されていますか?私からはその境界が滲んでいるようにも見えます。

だいぶ「社内」と「社外」の境界線は曖昧になってきましたね。

ヒューマンフォーラムは元々自前で色んなことを何でもやっちゃうタイプの会社だったのですよ。たとえば、全く知らないのに自分たちで農業を始めてしまったり、海外から輸入するときも商社を通すことが慣例の中で、僕たちは直接自分たちで現地に行って調達してしまうというような文化があります「オーストラリアのものが欲しい」って思ったら、ダイレクトにそこに行ってしまう・・・。だからこれまでは社内で完結してきていることが多かったのが実際です。

けれども、1人の力で行けるとこまで行こうと思った時、それぞれの能力次第でたどり着ける地点は違いますが、いずれにせよどこかで頭打ちしてしまいます頭打ちした時に次に何が問われるかというと、仲間ともっと遠くを目指してやってみよう、ということ。僕たちヒューマンフォーラムも同じで、自分たち自身で行けるところまでは結構行ききった感覚がありますし、周りを見渡すと、他の会社も皆行けるところまで行ききっているように見えるのです。

であれば、次はそういった同じ想いでいる会社同士が一緒に何かをやり始めれば次のイノベーションが起こせるのではないかと思ったのです。個で始まったのが、少しずつ小さなコミュニティを作りだして・・・。そして、こっちにコミュニティ、こっちにも、あっちもこっちもそっちも・・・のような。そして、たくさんのコミュニティがつながりだして、大きな一つになっていく。そういうイメージで外側とつながり始めましたね。

 

社内外のメンバーが集まる企画をいくつか実施しています。これは「持続可能な社会」をテーマにした勉強会の絵。

 

コミュニティが形として表出してきたとき、関わり方や育み方として、気をつけていたり大事にしていたりすることはありますか?取り組みが多少大きくなってくると、役割分担していくことなどで、当初の想いと離れたことも生じてくることがあると思うのですが。

僕個人の見方なのかもしれないですが、どのコミュニティも特定のリーダーが旗を振ってやっているっているようなことって、あまりないなと思っています。自分が「やりたい」と言って始めたことも、実は自分が中心にいるのではなくて、例えばそこに10人メンバーがいたとすると、僕は10分の1になっていく感覚がある。同じように他の誰かがやろうと言い出したことも、僕の中ではその人がリーダーっていうわけじゃなくて、そこに連なったメンバー皆で一緒かなあという感覚があります。

とても共感できます。個人の「想い」から立ち起こっていくプロジェクトやチームは強いですよね。そんな岩崎さんにあえてお伺いしたいのですが、もう一方の進め方、つまり、「誰かが責任を持ってコミット」しないと自然消滅的に色が淡くなり、いずれプロジェクトやチームの活動が消えていくことは過去起こりませんでしたか?

自然とそうはならず、必ず「いつ集まるか」といった、次の会議を招集する人が出てくる。でも、決してその人がハンドルを持っているわけではなくて、実際に集まった場では他の人が中心になって会話を進めていたりする。

真の意味ではそういったプロジェクト・チームの方がサステナブルで、無理がないのかもしれないですね。「コミットしたからやろう」ではなく、皆が必要だと思っているから取り組みが継続するということですね。「コミットしたからやる」というような場合は「目標」達成に向かって行動していくと思うのですが、この自然発生的なコミュニティでは何が共有されるのでしょうか?

やっぱり志が一緒だっていう事があるのではないでしょうか。洋服の未来とか、こどもたちの未来とか、そういったことへの志。

話は尽きないのですが、最後に、今後こういった取り組みをしようというのがありましたら教えてください。

一つ目は、これまで本当にいいものを生み出したい、こだわったものを作りたいというアーティスト的な人が作ったものが、マス受けしないのであまり売れず、結果として評価もされず、といった中で、諦めちゃったり、ということがよくあったと思うのですね。でもファッションとしては、そういったものがダントツお洒落だったりするんですよね。そういった価値を生み出せる人が作ったものを、効率アップや生産性アップなどの分野が得意な人がビジネスとして広げていくというような流れをつくりたい

もう一つは、今までの古いパラダイムでは活躍してこなかった人たちにも居場所があって、ちゃんと活躍して、ちゃんと給料を取れるってところまで実現できたらいいなと思っています。

最近、自分の給料をみんなで話し合って決めるというやり方に変えました。3年前に、まず会長、社長、役員の給料を社員に公開し、次のときには幹部クラスの社員の給料を公開して。今は、店長クラスぐらいまではみんな公開しています。さらに自分の給料は自分で申告し、お互いにバランスを見て話し合いながら決めていくので、僕や上司が決めることは一切なくなりました。

利益構造はみんなもうわかっているし、人件費率もどこが天井なのか分かっている。自分たちが取りすぎると後輩たちが取れないってことも分かっているから、結果的に毎回わきまえた範囲内で誰も反抗せずにちゃんと決まります。信頼だよって言うメッセージですね。

 

それは本当にすごいですね。うちの会社もそれでもいいのかもしれない・・・。

本日はありがとうございました。

 

〜 編集後記 〜

改めてお話をお聞きして一番印象に残ったことは「社内」と「社外」の境界が曖昧になってきているのではないか、ということ。オウンドメディアのチームでは「社内コミュニケーション」というテーマを探求すべく取材を試みているが、「社内」に閉じること、それ自体がもしかしたら古い枠組みになりつつあるのかもしれない・・・と、前回の取材(ガイアックス社)と期せずして重なったことからも感じた。一方で、「社内」の仲間を大切にできているからこそ、「社外」の本当の仲間も増やせるのではないか、とも思う。私たちは今後も同社の「仲間」の考え方、そしてその広がりや活動に注目していきたい。

社内のメンバーとの懇親時のお写真

 

〜 参考情報 〜

※イベントの詳細はヒューマンフォーラム社のオウンドメディアをぜひ御覧ください※

https://magazine.humanforum.co.jp/

 

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