Movin Café

Vol.16

人類の資産となるものを残せなければ、ビジネスパーソンとしての敗北だ —

 

 

こう切り出した北野氏。

2019年4月。ネクスウェイで年に一度行われる社員総会での講演の場である。

 

氏は続けてこう言った。

私たちが残せるものの種類には3つある。ひとつは子孫、もうひとつは共同体。

そして最後のひとつが「ミーム*」。僕は特にこの「ミーム」を残したいと願って本気で活動しています。

*ミーム:この言葉は、動物行動学者・進化生物学者であるリチャード・ドーキンス氏が1976年にThe Selfish Gene(邦題『利己的な遺伝子』)という本の中で作ったものであり、文化を形成するためのDNAの様なものと捉えられている。日本語では「模倣子・意伝子」などと訳される。(参照:Wilipedia)

 

ベンチャー企業の役員、作家という2つの顔をお持ちの北野氏。著書に「転職の思考法」「天才を殺す凡人」がある。

 

ベストセラーとなり、影響力を纏う2冊を世に送り出した氏は「想い」、つまりマインドについて

その構成要素・捉え方・向上策を60分間の中でアツく説いた。

本気で世の中へ臨む氏が導き出したひとつの「ミーム」として

本記事ではその講演内容・北野氏の言葉を ぎゅっと まとめて、あなたにお届けする。

 

優秀な人が持つ3つのマインドセット(「想い」の在り様)

私が対談やこれまでに出会ってきたビジネスパーソンで優秀だなと思う人に共通しているのは

こういったマインドをすべて高いレベルで兼ね備えていることです。

 

 

  • ビジネスマインド取り掛かっている自分の仕事の成果を出そうとする気持ち
  • パブリックマインド「なぜそれを行うのか」という自身が定める大義
  • アカデックマインド専門領域、あるいは、自己を検証する仕組み・習慣を保有しているか

 

私が特にこの中で言いたいのはビジネスとパブリックのマインドは間違うことがあるということです。

例えば水俣病のような社会問題になってしまった過去は、ビジネスマインドだけで突き進んでしまった結果だと思うのです。

おそらく当時、悪いことをしていると思っていなかった人もたくさんいたのでは?と思います。

大義や正義というのも時代が流れていけば変わっていくものですし、そもそも絶対的なものでもありません。

だからこそ、自分の中の監査法人としてアカデミックマインドを持つことが重要なのだと感じています。

 

そして、優秀なビジネスマンはこの3つの「マインドセット(想い)」を高め、人を巻き込んでいきます。

3方向に想いの出力を上げ続け、仲間を増やす。

そうすることでチャンスも増えて、自分の成長機会も拡大させていけます。

 

「実力」と「名刺」と「ビジョン」から、イマの自分を俯瞰する
  • 実力:

これからは個人の名前で勝負する時代が到来します。そのためには実力を身につけなければいけません。

ただ、実力というのはすごく主観的なものだと思うのです。なので、力を「実績」に変えて市場価値を高めてほしいです。

 

  • 名刺:

世の中に価値を残せる人は、結局その人の名前で仕事しているということもひとつの事実かなと思っています。

多くの方と対談させていただく中で、気づいたのは「会社」や「部門」「役職」で自分を語る人が日本には多いということ。

皆さんが明日から始められることとしては、社名や役職を使わない名刺を持つという意識をつくることです。

その時皆さんは「どんな肩書」で「自分をどのように紹介」しますか?

ぜひこのような観点で自分だけの名刺を作ってみてください。

 

  ①白紙の紙に所属する会社名・部門・役職を使わずに自分の肩書と名前を書く

  ②あなたが掲げたその肩書でどんな仕事が来ると思うか想像して書き出す

 

  • ビジョン:

いいビジョンはその内容に「共感」・「余白」・「覚悟」があることによってつくられます。

単に自分のしたいことだけを伝えて付いてきてくれるのは身内の極小数でしょう。

更にどれだけ論理を突き詰めて合理的に説明できても人は巻き込まれてくれません。

今の時代には「共感」が必要で、更にはすべてがコントロール “されていない” こと。

つまり、聞き手が参加できるという「余白」も必要です。

共感と余白は足し算として必要で、「覚悟」を示すことで掛け算的に巻き込まれていく人は増えていきます

覚悟とはできないことや弱さも含めて発露できるかということです。

 

特にこれからの時代はこのビジョンによって人が集まるでしょう。

有り体ですが個人でできることには限界があります。

そして、このビジョンというのはひとりの限界を超えていけるツールだと考えています。

僕自身、今、組織に所属してますし、組織だからこそできることって、この時代だからこそあると思っています。

 

「生産する娯楽」を通じて想いを高める
  • 消費する娯楽:消費に対して、資本は回復しないもの
  • 生産する娯楽:投資に対して、資本の回復(利益)があるもの

 

あなたが保有するあなた固有の資本を単純化するならば、それは身体(時間)と所得の2つです。

その資本は時の経過と共に、どの程度当初の資本に還っているだろうか?と考えてほしいと思います。

 

例えば、1,000円のお寿司を食べるとする。そして、10,000円のお寿司を食べるとする。

消費する時間は変わらないかもしれないけれども、消費した金額は10倍違う。

だからといって10,000円のお寿司を食べても、10倍資本(時間と所得)は回復しない。

 

ならば、あなたがかけた時間とお金。それが自分の資本へと還るように「生産する娯楽」を目指して欲しいです。

生産しつつ、消費を行えば資本は減っていかないと思います。

そして、求められ、続けられるのであれば、いずれ損益分岐点は超えていくはずです。

 

 

Youtubeや自分の趣味でお金を稼ぐということでも良いです。

世の中に求められることと、続けられる程好きなこと。

そうして生産していくことで社会へ残していきましょう。

 

ここにどれだけ本気になれていますか?ということだと私は思っています。

 

金銭報酬や出世だけが大切な労働観ではなくなってきたこの時代。そして会社の名刺ではなく、個人も名刺で戦う時代へ。

3方向へマインド(想い)を高め、あなたのビジョンで仲間を集め、実力とあなただけの名刺をもって生産していく。

 

そのように個人でも活躍できるあなたが、それでもこの仲間達と世の中へ勝負していきたいと思う会社を

既存の事業を更に強固にしながらも、新規事業に取り組むネクスウェイをぜひそういう会社にしていってください。

 

 

(探求者/研究者の見る世界から、あしたを過ごすヒント)

①    会社名や役職に頼らない自分だけの名刺をつくる

②    生産する娯楽をみつける、やってみる

③    自分にとっての「3つのマインドセット」を確認してみる

 

(編集後記)

北野唯我さんの講演を聞くひと月程前、筆者は、日本史では不敬事件の名で知られる内村鑑三が

青年向けに説いたと言われる「後世への最大遺物・デンマルク国の話(岩波文庫)」を読んだところでした。

内村氏は日清戦争の挙国一致の大義を支持し、戦禍を見るに後悔し

日露戦争開戦前後には非戦論へと立場を変えて平和を願ったといいます。

その氏が著書で言うに、後世へ残すことのできるものは5つあると。

 

  1. お金:溜め方と使い方に優れている必要があるもの
  2. 事業:お金を労力に変え、多くの人を助け、役に立つもの
  3. 思想:薫陶によって伝達していくもの
  4. 書物:あなたのありのまま、あるいは、あなたの思想を記したもの
  5. 教育学問ができる以上に、学問は伝えていけなかればいけないもの

 

そして、最後はキリスト教の伝道者らしく、

これら5つを遺(のこ)すにはすべてには能力が必要だ。しかし、能力が足りなくてもできることがある。

それは、勇ましく高尚なる生涯を過ごすことである。

と結んでいます。

 

北野さんのお話はこの情報と照らしながら、内省しつつお伺いしていました。

ぼく自身はこれまでの経験によって、個人として ”できること” の嵩や濃度に変化を感じているものの

それらは   ”求められ続けること” なのか?と視点を変えたときに

今後の自分の学びや成長のポイントの解像度が高まったように感じました。

更に、自分だけの名刺を想像し、つくることで

その肩書のイメージや自分自身とのGAPなどを同僚や仲間、家族と対話をしても面白いかもしれないな、と思いました。

そしてなにより、「ワークスタイル」について設定されていたこの講演の場で

本気を体現する北野さんが会場に残した余韻はとても心地が良いものでした。

この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 

文責:丸尾 拓也

 

 

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